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法定地上権価格

法定地上権価格とは,「法定地上権」という土地利用権について評価した価格のことです。法定地上権には,担保権の実行としての競売及び抵当権の設定された土地又は建物に対する強制競売の場合に民法388条の適用により成立するものと,抵当権の設定のない土地又は建物に対する強制競売の場合に民事執行法81条の適用により成立するものがあります。民法388条による法定地上権は,同一の所有者に属する土地又はその上に存する建物に設定された抵当権が実行され,それぞれ所有者を異にするに至ったときに,抵当権設定者が設定したとみなされる地上権のことです。また,民事執行法81条による法定地上権は,同一の債務者に属する土地又はその上に存する建物について強制競売が行われ,それぞれ所有者を異にするに至ったときに,その建物について設定されたとみなされる地上権のことです。法定地上権の成立時期は代金を完納した時期であり,存続期間は借地借家法3条により,30年となります。また,法定地上権の及ぶ範囲は,建物の利用上必要な限度で敷地以外の相当な範囲にも及び,一筆の土地の一部又は数筆にまたがって認められる場合もあります。不動産競売事件における評価においては,対抗要件を具備し,買受人に対抗できる土地利用権が存続するときの「土地」については,当該土地の価格から土地利用権価格を控除して評価します(土地利用権価格を控除した土地の価格が「底地価格」であり,土地利用権の制約を受ける土地として評価されることになります。)。土地利用権が建物に付着するものであるときは,その価格は建物の価格に加算されることになります。なお,建物の築造が土地への抵当権設定の後であるときは,抵当権者は当該土地及び建物を一括で競売することができますが,この場合には,買受人の所有権取得について何ら影響を及ぼしません。